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2006年5月12日 (金)

ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟

本を読む時間は、自分が最も個人的な存在であると感じられる時間ではないでしょうか。

日常生活は社会に適合せねばならず、仕事や学校というものは他者との関わりで成立していく。けれど一人で読書に埋没する時間は、他者との関わりを絶ち、己の空想世界に埋没できるものです。私は、この快感から脱出することはできないでしょう。

と、難解そうなことを書いてみましたが、読んだ作品は中高生向けライトノベルです。

ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟

著者:上遠野浩平
イラスト:緒方剛志
発行:電撃文庫(メディアワークス)

上遠野浩平のブギーポップシリーズの最新刊です。
あまりライトノベルを読まれない方は知らないかもしれませんが、私が知る範囲ではここ10年ぐらいで最も読まれているライトノベルのシリーズではないでしょうか。
映像化、コミック化もされ、新刊書が発売されると、新聞の売れ筋ランキングにも顔を出す恐るべきライトノベルです。

“不寛容” な奴は―― 誰だ?

世界を焼き尽くそうとする怒りと、全てを凍らせようとする無意識。
嘘で固められた世界の謎に挑もうとする者と、嘘を押し通すため謎を利用しようとする者。
これは、そんな人々が織りなす虚しき仮面劇。
その結末に待つものは、燃える世界か、凍れる未来か――
容赦なきブギーポップは、如何なる裁きを下すのか?
【電撃文庫HPより抜粋】

出版社の紹介文を転記してみましたが、初めて手に取る人にはよくわかりませんね(^^;)
物語は、ブギーポップという都市伝説が語られる世界。
複数の人物の思惑が絡み合うなかで、世界の敵を排除する存在として自動的に出現するブギーポップ。特殊な力をもつ合成人間やMPLS、謎の組織・統和機構。
それぞれの話の中で登場する人々は、共有する時間軸、世界観の中で、異なることを感じ行動する。それらが精密に絡み合い、そして、物語の終幕へと収束していく様は圧巻です。

このシリーズは、群像劇です。

例えば、放火事件が発生したとします。

放火犯:A、放火を目撃する人物:B、放火された家の持ち主:C、路上で放火犯とすれ違っただけの人:D、消火にあたった消防士:E、高層ビルの最上階レストランで女性を口説きながら燃える火を眺める男:F

これらの登場人物は、同じ時間軸で同じ事件を共有します。
例えば、AとFが知り合いだったら。BとDが別の場所で事件の話題を耳にしたら。
こういった出来事が、それぞれの視点で、また時間軸の中で前後しながら語られていく。別の人物の中では謎となっていることは、別の人物にとってはたわいもないことであったり、苦労して達成した事柄を別の人物に邪魔をされる。

え、あの時のあれは、そんなことだったのー!

と空想世界の僕は、こころ躍り、至福の喜びが味わえる。

映画『シックスセンス』などの仕掛けが楽しめる方には、おすすめのシリーズです。

オルフェの方舟―ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟―ブギーポップ・イントレランス

著者:上遠野 浩平
販売元:メディアワークス
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